真空管アンプ作ったよ

2019年あけましておめでとうございます。皆さん年末年始は何をしていましたか?ぼくは電子工作をして年越しを迎えました。つくっていたのは昨年末に買った、Nutubeを使ったヘッドホンアンプ作成キット(マルツパーツのMBK-6P1)です。今回はMBK-6P1の作成時に迷ったこととかまとめたいと思います。ただ作成マニュアルやその他資料など公式サイトに詳細にまとまってPDFで配布されているのであんまり書くこともありませんが…

回路について

作る前に回路を見ておきましょう。回路図はこちらのPDFにて公開されています。公式サイトに公開されている情報とともに自分なりに簡単にまとめておきます。間違ってたらコメントください。

回路の簡単なブロック分け(ソースは上記リンク)

電源部(5V, 3.3V)

右下のほうにある赤の枠で囲った部分はその名の通り電源部です。大元の9V電源から2つのレギュレータ(IC2、IC3)によって5Vと3.3Vを作っています。5Vは後述するポップ音対策部のPICマイコンの電源に、3.3VはNutubeのバイアス電圧に利用しています。

初段アンプ(Nutube)

左の緑で囲った部分がNutubeを使ったメインのアンプです。上段と下段で同じ回路になっており、RchとLchの増幅回路になったいます。Rchのみを解説すると、初めに入力J1から入った信号はVR1(一番大きいボリューム)にて抵抗分圧されて信号源の大きさを調節、つまり音量の調節を行っています。次にC3とその後段の抵抗によって直流成分をカットしています。またVR2の可変抵抗にてバイアス電圧を調整しています。そしてNutubeにて信号の増幅をしています。

出力バッファ

中央の水色でくくった部分が出力バッファになります。Nutube単体でも十分信号増幅はできますが、ヘッドホンやイヤホンのスピーカーを駆動するには出力が足りないようです。よってオペアンプAD1389(IC1)を電圧ホロワ(入力と出力の電圧は同じだけどより多くの電流を流せるようにする)として動作させ駆動能力を確保しています。

ミューティング回路

右のオレンジ色の部分がポップ音対策部です。電源を投入した直後や切断した直後には出力が不安定になりポップ音と呼ばれるノイズが発生します。これをイヤホンへ出力しないための回路をミューティング回路と呼びます。

このキットの回路ではリレーとPICマイコンを使ってアンプの出力部を物理的にスイッチングすることでミューティング回路を実現しています。回路的にはPICの汎用IOからトランジスタC1815をスイッチング素子として経由してリレーのON/OFFを制御しています。電源投入時にはリレーはOFF状態になっており、アンプの出力部は切断されています。そしてPICには起動してから5秒後にIOをHIGHにするプログラムが書かれているようで、これによりリレーがON状態になります。

また、電源OFF時のポップ音対策はトグルスイッチによって実現しています。アンプの電源のトグルスイッチは 2極双投形を使用しているので、電源に連動して出力部をスイッチングしています。これにより電源を切ったと同時に出力も切断されるのでポップ音がヘッドホンに出力されないようになっています。

組み立て時に気になったこと

回路についてなんとなく理解したので組み立てていきましょう。基本的にマルツさんの方で公開されている組み立て手順書に従って組み立てていけば大丈夫ですが気になった部分を4点ほど書いておきます。

1. LEDの取り付けて順がない

一通り上記リンクの手順書のとおりに取り付けたらLEDが余りました。とりあえず高さ的に手順書の1-1の抵抗の取り付けと同時にはんだ付けするのがいいと思います。基板にシルク印刷がされているのでその向きに取り付ければOKです。

2. 3.3Vレギュレータ(IC3)はどれ

これ。7AM1L3E KY5033 TIって書いてある3端子のやつです。

3.3Vレギュレータ

部品リストにはSTのLP2950-33LPE3が入ってることになっていましたが届いたものにはTexas Instrumentsのレギュレータが入ってました。

3. 5Vレギュレータの向きは結局どっち

こうです。

5Vレギュレータ

基板には丁寧にInputのI、OutputのOが印刷されてますがICのピン配置は結局どうなってんねんとなったのでググりました。この向きではんだ付けすればOKです。

4. トグルスイッチの配線について

組立手順書の図12は次のように記載されています。

手順書P8よりトグルスイッチの配線

最初何も考えずにこの図の見たままのとおりにリード線をはんだ付けしましたが、回路的におかしくない?と思い下図のように配線しました。

トグルスイッチの配線(正しい)

はじめはオレンジのリード線を上段の左の端子にはんだ付けしてました。そのように配線すると、電源がONのときアンプの出力が切断されていることになります。これはおかしいと思い写真のとおりに配線しました。結果写真の配線でちゃんと音がなりました。 2極のトグルスイッチの回路図を初めて見たので図12の回路図であっているのか、間違っているのかよくわかりません。誰か教えてください。

その他

その他、組立時の注意点として少し気をつけたいことは

  • オーディオ用のコンデンサ(金色)と通常のコンデンサ(白黒)の使い分けを間違えない
  • ボリュームのつまみの固定に1.5mmの六角ドライバが必要

くらいでしょうか。本当に手順書が丁寧に用意されているので電子工作初心者の方でも大丈夫だと思います。手元にまともなオシロもFジェネもないのでバイアス電圧の調整をどうやろうかと思っていたのですが音を聞きながら適当にやるのでも意外と大丈夫でした。

電源にスイッチングACアダプタを使うな

回路が完成してテスト、調節が終わったら早速音を鳴らしてみましょう。作ったアンプは室内でしか使う予定がなかったのでとりあえずACアダプタアダプタから給電すればいいやと思ってました。手元に秋月電子の9V出力のスイッチングACアダプタがあったのでそれをつないで音を鳴らしてみると常時「ピーーーーーーーーーー」というノイズが乗ってしまいました。それもわりと大きい音でAMラジオでもこんなひどい(ホワイト)ノイズ乗らないぞといった感じでした。入力に何も入力してない時の出力のFFT結果が下図です。

スイッチングACアダプタを使ったときの出力のFFT結果

赤線はピークであり、黄線が現在値になります。手元にまともなFFTアナライザがないのでヘッドホンの音声をスマホで録音しFFT解析するアプリで見ています。これを見ると約2.35KHzをピークにして強いノイズが乗っていることがわかります。2倍高調波と思われる4.7KHz付近にも結構でてますね。とてもじゃないですが聞けたものではありません。

仕方がないので006P(角型の9V電池)を電源として利用したところ、上記のノイズは綺麗サッパリなくなりました。よくオーディオにスイッチング電源を使うなとは聞きますがこんなにもノイズが出るものなんですね勉強になりました。

音質について

ピアノ曲が好きなので辻井伸行さんのCD音源をWALKMANから流してみました。アンプなして聞くときと比べて音のリアルさがましたような気がします。いや正直に言うと違うはよくわかりません。耳に自身のある方是非貸し出しますので感想を聞かせてください。

そういえば購入したときに上げた記事ではアンプも交換できるのでいろいろ買えて遊べたらいいな~と書きました。今回回路図をよく見てみるとアンプはただの出力バッファにしか使っていないので取り替えたところで音質は変わるのでしょうかと思いました。また公式サイトの資料にも書いてあるとおり通常の増幅目的のオペアンプでは出力が足りないそうなので注意しておきたいですね。オペアンプの出力で直接ヘッドホンをドライブすることはないのでしょうか?とりあえず出力インピーダンスの小さいオペアンプしか使うことができないようです。ちなみに付属のAD8397では出力インピ0.2Ωとなっています。

今後の方針

はじめてのアンプ制作でしたが便利なキットのおかげですんなり作ることができました。それにしても006Pを毎回購入して使うのも交換がめんどくさいですし、家でしか使わないのでまともなACアダプタを用意したいですね。もしくはスイッチングノイズを軽減するフィルタ的なものを作りたいです。その後はADC付近の回路も自分で作るなりし8日と思います。私のPCは光ディジタルでのオーディオ出力に対応しているのでそのデコーダとADCを作り、今回作ったアンプに入力とするような回路を目標にします。

PIC MAN

ソフトとハードの両方の目線を持てるようになりたいです.

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