Oura Ring(第3世代)を買った

こんにちは、PICMANです。

気がつけば最後の更新から1年以上経過していました、2020年12月ぶり、2022年初の記事になります。2021年は個人的にスポーツの1年を目標に掲げていましたのでBlogに書くようなネタがあまりありませんでした。2022年からは更新頻度を上げたいと思います。

さて、今回はOura Ringを購入しましたので久々にレビューしたいと思います。

Oura Ringとは

Oura Ringは指輪型のスマートデバイスです。2021年12月現在は第3世代が最新版となります。カラーリングはSilver、Black、 stealth (マットブラック)、Goldの4種類です。心拍数や歩数、相対体温、睡眠ログなどを記録できます。また将来的にパルスオキシメータ機能も使えるようになるようです。また防水機能を備えており、水深100mまで利用可能です。

https://ouraring.com/

詳細な機能については上記の公式サイト等を御覧ください。

Oura Ringを購入した理由

これまでスマートデバイスとしてMi Bandシリーズを愛用していました。使用目的としては、日々の活動量、睡眠時間の記録とスマホの通知の確認です。

特に睡眠トラッキング機能は一番重宝しています。なぜなら、もともと寝付きが悪く、途中覚醒のプロであり、睡眠時間が確保できていないと露骨にパフォーマンスが下がることがわかっているからです。睡眠時間の記録を取ることで直接的に先に述べた問題を解決できるわけではありませんが、よく眠れなかった日には集中力を要する事柄を避けたり、(良くないことではあるが)後々睡眠負債を返済しようと対症療法的に意思決定をすることができます。

さて現在使用していたMi Band6は安価で多機能なデバイスでしたが、個人的にいくつか問題点、不満点がありました。

  • 昼寝のトラッキング精度が悪い
  • 小型とはいえ、睡眠時に邪魔と感じる(睡眠時、無意識に外していることもある)
  • ラバーバンドと皮膚の相性が悪く、軽い湿疹がみられる

その他、Mi Band4あたりから機能的な更新がほとんど無く飽きてしまっていることや、GARMIN DESCENT MK2を購入したこともあり役割が重複していました。

GARMIN DESCENT MK2はダイブコンピュータです。今年ダイビングを始め、購入しました。こちらはスマートウォッチとしても十分利用できる機能が備わっていて、なんとSuicaまで使えちゃいます。いずれ機会があったらこちらもレビューしようかと思います。

さてこれらの理由からシンプルに活動量・睡眠時間を記録できるスマートデバイスが欲しく、探していたところOura Ringに出会いました。

購入までの流れ

2021年12月現在、日本の正式な代理店などはなく、本家サイトから購入できます。価格は$399となっていて、日本円では約36,600円+輸入時の関税3000円でした。

本家サイトから購入すると、まずサイジングキットが送られてきます。こちらのプラスチック製のモック指輪を1日程度着用し、違和感のないサイズ決めることをおすすめされています。

サイジングキット

購入から本体到着までのリードタイムとしては2週間弱ほどでした。詳細は下記のようになります。

  • 2021/12/12:サイトにて購入
  • 2021/12/15:サイジングキット発送通知(21日着予定)
  • 2021/12/21:サイジングキット到着
  • 2021/12/21:サイズ決定、本体注文
  • 2021/12/21:本体注文発送通知(27日着予定)
  • 2021/12/24:本体到着

公式サイト上では、注文型によりサイジングキット送付まで2週間ほどかかるとの記載がありましたが、そこまで時間はかかりました。そしてなぜかはわかりませんが、本体は爆速で届きました。12/24ということで、2021年のクリスマスプレゼントになりました。

Oura Ringレビュー

今回、普段遣いできるように一番無難と思われるシルバーを購入しました。またサイズは8としました。

Oura Ring本体
Oura Ringをつけてみたところ

外観の第一印象としては、メッキ感があり安っぽいと感じました。後々になってマットブラック (stealth) のほうが良かったかなと思いましたが、服との組み合わせも考えると難しいところです。また割と高さがある(7[mm]ほど)ので、本体が目立つことはもちろんながら、汚れが付着していても目立ちます。ちなみに、Oura Ringは中指または人差し指に装着することが推奨されています。

Oura Ringの内側

内側はこんな感じで、円の下半分に3つの突起があります。ここに各種センサやらが詰め込まれているようです。内側で見えないところではありますが、以前流行った電子部品アクセサリのような、近未来デバイス感がありかっこいいですね。

さて実際に数日間使用してみた感想ですが、腕時計型スマートデバイスよりも生活の上で邪魔と感じることは少なく、また個人的にMiBandで問題になっていた湿疹はOura Ringでは発生していないため快適に使用しています。強いて言えば、少々気になったのはキーボードで文字を打っているシーンでしょうか。Oura Ring自体にもそれなりの厚みがあることや、自分のキーボードの打ち方が独特でたまに指が交差するような打ち方をすることがあるので少し違和感がありました。ただこちらは数日ほどで慣れた気がします。

アプリの使用感としましては、可もなく不可もなしといった感じです。通知機能などはないためシンプルに測定されたデータが確認できる点は便利です。また、Mi Bandと比較して睡眠状態や活動状態に応じて具体的なアドバイスを表示したりしてくれるため、より健康に特化した作りになっているとの印象を受けました。

また、面白いことにOura Ringは各種測定データ等を取得可能なAPIが用意されています。まだ利用したことはありませんが、自分自身でデータの解析等をしたい方には最適ですね。

睡眠トラッキング機能の精度についてMi Bandと測定・比較

今回、睡眠トラッキングの機能についてOura Ring 3とMi Band 6で比較してみました。測定の前提条件としまして、Oura Ring、Mi Bandともに下記の睡眠状態データを自動で記録することができます。今回はこれらの指標を比較します。

  • 入眠時刻、起床時刻
  • 覚醒時間
  • レム睡眠時間
  • 浅い眠りの時間
  • 深い眠りの時間

測定結果

両デバイスを装着して5日間ほど睡眠トラッキングした結果をFig.1にまとめました。

Fig.1 睡眠トラッキング結果

日付は連続した5日間(A~E)です。時系列的にはEが最も過去であり、Aが新しい日付となっています。また、睡眠時間列は「起床時刻 – 入眠時刻」で計算した結果です。まずは入眠時刻・起床時刻について注目してみます。Fig.2にガントチャートを起こしました。

Fig.2 入眠時刻と起床時刻の比較

入眠時間がバラバラで遅めであることはさておき、Fig.1からもわかるように起床時刻はほぼ同一であるのに対し、入眠時刻は2~18分ほどの差があり、A~Eすべての日付でMi Bandのほうが遅めになっています。

続いて、日付、デバイスごとに各状態の積み上げ棒グラフをFig.3に示します。

Fig.3 各状態の積み上げ棒グラフ

Fig.3のようにグラフにすると視覚的にわかりやすくなりますが、両デバイスの睡眠状態は一致しませんでした。特に、覚醒時間についてはMi Bandではほぼ0、 あっても数分となっていますが、Oura Ringでは毎日1時間以上記録されています。

最後に、各デバイスのアプリで確認できる睡眠状態のグラフを比較してみます。Mi Bandのアプリケーションでは分単位で睡眠状態を確認できるのですが、Oura Ringのアプリではそれが難しいため、スクショ画像から比較してみました。また今回、スクショ画像から比較するため、入眠時刻と起床時刻がほぼ同時刻の日付A(Fig. 4)、日付C (Fig. 5) を取り上げました。

Fig.4 日付Aの睡眠状態の比較
Fig.5 日付Cの睡眠状態の比較

上段がMi Bandの記録、下段がOura Ringの記録になります。また右側はそれぞれのグラフの凡例と各睡眠状態の時間になります。かなり大雑把ですが、長めの「深い睡眠」状態はまあまあ一致しているように見えます。また、後半部分(起床時刻直前)の「レム」状態もそこそこ一致しているように見えます。「レム」状態の割合も数パーセントの差となっています。

比較・考察

はじめに、そもそも典型的な人間の睡眠状態はどのように推移するのか確認します。厚生省のサイトによると、下記のような状態遷移だそうです。

睡眠は深いノンレム睡眠(段階3と4)から始まり、睡眠欲求が低下する朝方に向けて徐々に浅いノンレム睡眠(段階1と2)が増えてゆきます。その間に約90分周期でレム睡眠が繰り返し出現し、睡眠後半に向けて徐々に一回ごとのレム睡眠時間が増加してゆきます。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-002.html

リンク先の最下部にある図をご覧いただければわかりやすいかと思いますが、簡単にまとめると、下記がポイントとなります。

  • 「深い睡眠」の割合は入眠直後に多く、起床時刻に近づくに連れ減少する
  • 「レム睡眠」の割合は入眠直後は少なく、起床時刻に近づくに連れ増加する
  • レム睡眠は約90分毎に出現する

また、一般的にレム睡眠状態では体はほとんど動かず、ノンレム睡眠状態(浅い睡眠、深い睡眠状態)で寝返りを打ったりするとのこと(参考:https://sleepedia.jp/rem-nonrem/)。このような体の動きも睡眠状態を判定する手がかりの一つとなりえます。

厚生省のサイトにあったような睡眠状態を正確に計測するためには睡眠脳波検査が必要です。一方でOura RingやMi Bandには脳波を直接計測する機能はありません。スマートデバイスを用いた睡眠状態の推定は、一般的に加速度センサ、脈拍のデータから行われています。Oura Ringの場合は上記に加え、体表面温度も考慮して独自のアルゴリズムを元に測定しているようです。

Ouraは、心拍数、脈拍の強さ、体表温、動きのダイナミクスを測定することで睡眠を分析します。当社独自のアルゴリズムがこれらの測定値を組み合わせて、ユーザー独自の睡眠パターンの詳細なイメージを生成します。

https://support.ouraring.com/hc/ja/articles/360025445574-%E7%9D%A1%E7%9C%A0%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%82%A2%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E6%B8%AC%E5%AE%9A%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%8B-

Oura Ringの独自睡眠状態判定アルゴリズムは世界標準のPSG(睡眠精密検査)と比較して79%一致していると主張しています。

By leveraging every signal from the Oura Ring (movement, temperature, heart rate, & HRV), researchers were able to develop a new sleep staging algorithm that achieves 79% agreement with gold-standard PSG for 4-stage sleep classification (wake, light, deep, and rapid eye movement (REM) sleep).

https://ouraring.com/blog/new-sleep-staging-algorithm/

上記サイトには、その根拠となる論文へのリンクがあります(投稿先がMDPIなのは気になりますが……)。こちらでは、実験が行われた地域や各種センサの特徴量の抽出のためのデータ処理方法、また睡眠状態を分類する機械学習モデルの作成手法(Light Gradient Boosting Machineを使用しているとのこと)について書かれています。個人的に面白いと思ったポイントは、睡眠状態の判別にセンサに依存しない、人間の性質的な値を導入しているという点です。具体的な一例として、入眠時刻~起床時刻の間で0-1に変化する線形関数としてパラメータに取り入れ計算しているようです(2.3.4より)。例えば、レム睡眠状態は先に述べたように「起床時間に近づくに連れ増加」します。こういった特徴を単純な関数として考慮することができるそうです。機械学習やAI方面は触れたことがなく詳しくはありませんが、単純にセンサ値だけに頼らずこういった工夫でより精度の高い推定が実現できるのだと勉強になりました。

さて、それでは測定結果を振り返ります。

まずはじめに、Fig.2の入眠時刻と起床時刻についてはどちらもほぼ一致しているので問題ないと考えています。入眠時刻についてはMi Bandのほうが数分~十数分遅くなっていましたが、これはMi Bandの方が入眠判定の閾値が少し厳しいのだと思います。また、自分自身固有の問題として布団に入ったあとも平気で1~2時間眠れずただ目をつぶっていることがよくあります。この状態を各社のアルゴリズムが「入眠時刻前」と判定するか、「入眠時刻後の覚醒状態」と判定するかの差も現れているのでないかと思います。

続いて、Fig.3-5を振り返ると、睡眠時間自体は大差ないはずですが睡眠状態の判定はかなり差が出ていることがわかります。特に、Mi Bandでは覚醒状態の時間がとても短いです。途中覚醒することは多々あるため、Oura Ringのほうが実際の睡眠状態に近いのではないかと思いますが、流石に覚醒時間が長すぎる気もします。こればかりは睡眠精密検査等をしてみないとわかりません。

また先のOuraの論文では、機械学習モデルの開発と検証に「健康な成人」を対象にデータの収集を行ったとあります。自分のような睡眠状態があまり良くない場合でもうまく分類できているのかは気になるところです。

おわりに

Oura RingはMi Bandと比較して機能もシンプルではありますが、生活をする上で気にならないという点では大きなアドバンテージがあります。また、睡眠トラッキングの機能についてどのように判定しているか具体的な情報が公開されている点などから、他者よりも健康を意識したプロダクトを作るという意思がありそうです。一方で、価格の面からすると正直機能の割に高いな……と思わざるを得ないです。「腕時計が好きなんだけど、リストバンド型のスマートデバイスはちょっと…」という方にはおすすめです。

これはおまけ情報になりますが、通知機能がないことは副次的に良い効果をもたらしています。これまですべての通知をMi Bandで受け取り、スマホは完全にサイレントで運用していました。なにか作業中にMi Bandで通知を受け取ると、後で確認しようと思っても脳のリソースがスマホに割かれてしまい集中力が低下している事がありました。しかし今回、Oura Ringを導入し、スマホは変わらずサイレントで運用しているとスマホに集中力を削がれることが少なくなりました。時代に逆行しているようですが、スマートフォンの通知から離れてみるのも悪くないと思いました。

PIC MAN

ソフトとハードの両方の目線を持てるようになりたいです.

おすすめ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です